昭和の終わり頃に生まれた人は、幼少期時代をジブリと共に過ごしたという人も少なくないでしょう。もちろん私もその1人。幼稚園に入園する前に「となりのトトロ」にとてもハマったらしく、当時、園で使っていた座布団は母がメイちゃんとトトロを刺繍してくれたことを覚えています。
そんな子ども時代から30年強。先日、「金曜ロードショー」で放送された「となりのトトロ」(録画したもの)をマシューに見せたら、彼もとってもハマった様子! ちょうどコロナの関係で保育園が登園自粛になり、仕事中はテレビに頼らなければいけない場面が多かったので、その度にトトロを見ていました。やっぱり何か、世代を問わず心に響くものがあるみたいです。
そして「となりのトトロ」のおかげで、また少し言葉が増えました。これまで「テレビで英語を覚えた」という人に多く出会ってきたので、見せ過ぎはいけないですが、ある程度頼ってもいいのかもしれないと思う今日この頃です。
アニメに対する考え方:日本とイタリアの違い
そういえば、日本のNETFLIXにはないですが、海外のNETFLIXではジブリ作品が視聴可能です。イタリアに行った際、「紅の豚」をリビングで見ていたのですが、義両親に「なんで子供向け番組なんて見てるんだ?」と不思議がられました。
二人とも70歳を超えているので年代的なものもあるかもしれませんが、「大人が見ても楽しい作品はたくさんある」と言っても、あまりピンときていないよう。もちろん、同世代のイタリア人では「ONE PIECE」や「ナルト」が大好きな友人たちもたくさんいるので、少しずつ感覚は変わってきているのかもしれませんが、日本人の私からするとちょっと驚きのエピソードでした。
アニメのおかげで単語量が増加
さて、朝起きても、何をしても「ト!(トトロを見たい)」と言うようになったマシュー。そののめり込み方がすごくて、サツキやメイがまっくろくろすけに「ワー!」と立ち向かう場面や、洗濯物を足踏みして洗っている場面など、出てくるタイミングを暗記してしまいました。
それに伴って、登場するセリフや単語たちも覚え始めています。その様子を見ていると、英語学習で映画を用いるのと同じ要領で、言語を学ぶことができているのかもしれないと思うのです。
動画で言語習得をするのは「完全な悪」ではない?
オンライン英会話サービスで働いていたときには、世界中の講師と会話をする機会がありました。ネイティブ・非ネイティブとも在籍しており、非ネイティブの講師にはよくどうやって英語を学習したのか聞くことが多かったんです。
そうすると、「テレビを見て覚えた」と言う人の多いこと! もちろん学校で英語の授業もあるわけですが、自分にとって何が一番効果的だったかというと、テレビを介して覚えたという感覚の方が強いことが多いようです。
そしてその講師たちの子どもはというと、YouTubeで英語を覚えていることが多いそう。もちろん動画を見せることに賛否両論はあるのですが、一定のスクリーンタイムを守れば、ある程度の効果はあるのかもしれません。
人で分けるか、場面で分けるか
マルチリンガル家庭では、子どもに対してOPOL(One Parent One Language)という、片方の親が1言語、もう片方の親が他の1言語を使うことを徹底する方法が取られることがあります。我が家に当てはめると、私がマシューに対して日本語、ルッチョがイタリア語でのみ話しかけるということです。でもそうすると、ルッチョと私の共通言語である英語が抜けてしまいます。
現在通っている保育園は日本語しか使わないので、最初は言語を場面で分けようかと考えていました。家では英語とイタリア語、保育園では日本語というわけですね。しかし最もいろいろなことを吸収するこの時期に、私から日本語をインプットしないのもなかなか不安でした。
それでいつからか、あまり気にせず、私がマシューに日・英・伊の3言語を混ぜて話しかけたり、ルッチョが英・伊の2つを混ぜて話しかけるようになったのです。でも発話がちょっとゆっくりめなことが気になって、そこまで徹底できてはいないものの、ここ最近OPOLを意識しながら話しかけるようにしてみました。そうしたら、マシューが以前よりも日本語・イタリア語に関してちゃんと切り分けて考えることができるようになった気がします。
3人でいるときには英語で会話をしていますし、家族でテレビや映画を見るときにも英語なので、そこでなんとなく英語を補完している感じです。(欧米の作品は、吹き替えではなくオリジナル言語で見るようにしています。)
また、少しずつ言葉が増えてきたタイミングで、一緒にテレビを見ながらコミュニケーションを取れるようになってきたことも、良かったのかもしれません。子どもにテレビを見せ続けて、情報を受動的に浴びるのは、悪影響になるでしょう。しかし一緒に見て、会話のタネにできるのであれば、そこまで「テレビは悪」とは言い切れないかもしれません。例えば「トトロ」を見ているときならば、「あ、猫バスが走ってきたね!」「お魚さんが泳いでいるね」など、声かけをするわけです。そうするとマシューも少しずつ「あ!バス!」と言うようになってくれました。
我が家では現時点で、人(とテレビ)で言語を分けるのが合っている気がします。今後、幼稚園に進級したらまた環境が変わるので、柔軟にアプローチを変えていければと考えています。